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肩関節外科のご案内

  • 肩の痛みには原因がたくさんありますが、いわゆる「五十肩」で済まされてしまうことが多く、適切な治療を行えば改善するはずのものが、いつまでたっても治らないことがあります。
  • 肩痛の原因としては腱板損傷、変形性肩関節症、凍結肩(肩関節周囲炎 いわゆる五十肩)、上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着性腱炎等があります。当院では原因を調べていくため、積極的に超音波検査(エコー)やMRI検査を行っています。
  • 腱板損傷や凍結肩は手術を行わない方法(保存治療といいます)で症状が改善することが多く、当院でもむやみに手術をおこなったりせず、投薬治療、運動療法等保存治療を基本としています。
  • しかしながら、明らかな手術が必要な場合や、患者様の必要性を踏まえ、手術治療も積極的に行っています。手術に関しては、関節鏡を用いた体にダメージの少ない(小侵襲と言います)術式を基本としております。ほかにリバース型人工肩関節置換術を含めた人工肩関節置換術も多数行っています。
  • 患者様一人一人に満足していただけるよう、丁寧な診察、説明を心がけております。
    何かありましたら、主治医までご相談ください。

手術実績

 2021年2022年
鏡視下腱板修復術35件42件
鏡視下関節唇修復術4件4件
人工関節置換術(うちリバース型)16件(15件)12件(10件)
骨折観血的整復内固定術13件22件
手術総件数68件80件

1. 腱板損傷・腱板断裂

肩甲骨から上腕骨にかけて棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋という4つの筋肉がついています。上腕骨につくあたりは筋肉の成分から、腱という成分になり、腱板と呼ばれています。この腱板が傷むことを腱板損傷と言います。腱板損傷の原因には強い力が加わる(転倒や転落による打撲等)外傷性と加齢性変化による変性があります。

症状は痛み、動きが悪い、力が入らない等です。夜痛みが強いというのもあります。診断には超音波検査やMRIが有効です。
変性断裂であれば、通常3~6カ月程度で疼痛は改善することが多いのですが、痛みが改善しない場合や日常生活に支障がある場合には手術治療も選択肢となります。外傷性断裂では、年齢にもよりますが、手術が必要になることが多いです。あまり放置しておくと、腱板を修復できないことがあるため、早期に医療機関へ受診することをお勧めします。

手術の方法は関節鏡(内視鏡の一つです)を用いた関節鏡視下腱板修復術が一般的です。断裂が大きくて、修復できない場合には、太ももの筋膜(大腿筋膜といいます)を採取して移植する上方関節包再建術や筋肉を移行する方法(棘下筋回転移行術、広背筋・大胸筋移行)、さらには人工肩関節置換術を行うことがあります。

2. 五十肩

正式には凍結肩と言います。また肩関節周囲炎と呼ばれることがあります。四十肩や六十肩とおっしゃる方もいらっしゃいますが、そういった医療用語はありません。もともとは江戸時代の俚諺集覧という本に「凡、人五十歳ばかりの時、手腕、骨節痛むことあり、程すれば薬せずして癒ゆるものなり、俗に之を五十腕とも五十肩ともいう。また長命病という」という一文があり、その頃から使われていたようです。現在では原因はよくわからないが、一過性に起こる肩の疼痛という概念で使われていることが多いと思います。なので、レントゲン撮影して何もなければ五十肩と言われるのです。ただ、近年、超音波検査やMRIといった検査方法が発達したので、五十肩と言われた中に、他の疾患であったということがよくあります。

その病態ははっきりしていませんが、まず肩周囲に炎症が起こり、それによって組織が線維化をおこして拘縮(関節が硬くなることを言います)すると言われています。3つの時期があり、まず炎症が起こり強い痛みが出る炎症期、炎症が収まり痛みは改善するが、肩の硬さが残る拘縮期、硬さがなくなってくる回復期と続きます。回復するまでおよそ1~2年かかると言われていますが、適切な治療をされていないと4年以上かかることもあります。

治療は投薬治療が基本になります。関節注射も有効なことが多いです。運動療法も重要ですが、疼痛の強い時期に無理に動かすと悪化するため、気を付けないといけません。当院では炎症期の間はできるだけ安静を指導しています。拘縮に対しては運動療法のほかにmanipulation(マニピュレーション)と言われる癒着した組織を剥がす方法も行うことがあります。基本的には保存治療で改善しますが、手術が必要になる場合もあります。手術治療としては関節鏡を用いた鏡視下関節包切離術がおこなわれます。

3. 石灰沈着性腱炎

腱板に石灰が沈着しておきます。30~50歳代の女性に多いと言われています。
石灰が沈着する原因はよくわかっていませんが、糖尿病や痛風といった全身性の病気とは関連がないようです。石灰の成分はカルシウム、ハイドロキシアパタイト、またはそれに類似した物質と言われています。

急性期には安静時・運動時ともに強い痛みがあり、夜眠れないこともしばしばあります。おおよそこの強い痛みは2週間程度続くようです。その後慢性期になると安静時痛は軽度になりますが、運動時痛が残ります。通常、時間の経過とともに症状は改善してくることが多いです。診断はレントゲンや超音波検査、CT、MRIを使って行われます。

治療としては投薬治療、関節注射、運動療法がまず行われます。急性期には石灰を穿刺吸引するという方法もあります。慢性期で症状の改善が乏しい場合手術を行うことがあります。手術では関節鏡を用いて石灰を摘出する鏡視下石灰摘出術をおこないます。

4. 上腕二頭筋長頭腱炎・損傷・断裂

上腕二頭筋という力こぶの筋肉には長頭腱と短頭腱という2つの腱があり、そのうち長頭腱は上腕骨の前から上に行ってカーブを描くように曲がって肩甲骨につきます。上腕骨の前では結節間溝という溝の中を通りますが、ここで負荷が強いと炎症を起こすことがあります。また、強い力が加わったり、繰り返したりすることで腱が傷んだり(損傷)、切れたり(断裂)します。

治療は症状によって投薬や注射、運動療法のほかに手術を行います。

5. 反復性肩関節脱臼

肩関節は人間の体の中で最も動きの大きい関節です。また、その構造上、一番脱臼(いわゆる「はずれる」)しやすい関節でもあります。肩を脱臼すると肩甲骨関節窩という上腕骨頭の受け皿についている関節唇や靭帯といった軟部組織が剥がれてしまい、脱臼を繰り返しやすくなります。この剥がれた関節唇や靭帯は自然修復しないため、脱臼を繰り返す場合、手術治療が必要になります。

手術は通常関節鏡を用いた鏡視下関節唇修復術(関節制動術)を行うことが多いのですが、スポーツ選手のうち、ラグビーやアメリカンフットボールといったいわゆるコンタクトスポーツといった競技の選手たちでは烏口突起移行術が行われたりすることがあります。また腱板損傷を合併している場合、そちらも同時に治療することがあります。手術をした場合のスポーツ復帰は凡そ半年程度です。

6. 投球障害

野球やハンドボールといったボールを投げる競技や、バレーボール、水泳といった肩を回すスポーツでは肩や肘を痛めることがあります。その原因は様々ですが、腱板や関節唇、靭帯を損傷していることがあります。そういった場合でも、通常は運動療法を行うことで、症状は改善しますが、場合によっては手術が必要なことがあります。手術は肩であれば関節鏡を用いた鏡視下手術が行われます。肘では関節鏡手術のほかに靭帯を再建する手術(いわゆるトミー・ジョン手術)を行います。

担当医紹介

浅井 秀明(あさい ひであき)

2003年 東京慈恵会医科大学卒
東京大学整形外科 入局

日本整形外科学会認定専門医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本体育協会認定スポーツ医
日本オリンピック委員会強化スタッフ(野球)

<所属学会>
日本整形外科学会
日本肩関節学会
日本整形外科スポーツ医学学会
日本臨床スポーツ医学会
日本整形超音波学会
JOSKAS
日本骨折治療学会
日本小児整形外科学会

肩関節外科担当医:浅井 秀明医師
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