ソケイヘルニア
当院では腹腔鏡・通常切開法のいずれのヘルニア手術にも対応しています。
最短で1泊2日での治療が可能です。
「ソケイヘルニア」という病気について
八潮中央総合病院のソケイヘルニア治療
ソケイヘルニアはどんな病気?どうしてなるのですか?
人間の内臓は“腹膜”という袋で包まれています。さらに外側を筋肉が包み、この袋が飛び出すのを防いでいます。
ちょうど大きな水風船の入ったバケツの様なものです。バケツの底に弱い部分があると、圧力で穴が開き、そこから風船が飛び出してきます。
人間の体も同じです。人間の“バケツの底”は肢の付け根辺りにあります。この部分はもともと筋肉が弱かったり、隙間が開いています。
ここの部分に穴が開き、腹膜と一緒にお腹の脂肪や腸が飛び出すと、ぷっくりと膨れてきます。これが“ソケイヘルニア”です。
つまり、俗に脱腸と言いますが、腸の病気ではなく筋肉の病気です。また、子供だけの病気ではありません。
- 先天的な要因・・・
- 生まれつき筋肉の隙間から腹膜が飛び出している場合。
- 年齢的な要因・・・
- 年齢とともにおなかの筋肉が弱くなる場合。
- 環境的な要因・・・
- 職業や習慣でおなかに力を入れることが多い場合。
いくつかの要因が重なっていることも多いようです。
ソケイヘルニアは「バケツと風船」の関係に似ています。
バケツの中の水の入った風船。
風船の水が増えて圧力が高くなると・・・
バケツのそこに弱い部分があると、その部分が壊れて風船が飛び出してきます。
実際のソケイヘルニアの模式図です(男性の場合です)。
この絵の向かって右側のソケイ部は正常です。向かって左側のソケイ部にヘルニアを起こしています。この絵の場合、睾丸につながる管が筋肉を貫く穴が、ヘルニアを起こしている方は大きく広がってしまい、ここから腹膜が飛び出しています。
どんな人がなりやすい?
一般的には”腹圧のかかりやすい、高齢男性“ですが、実際にはそうでない方も多く発症しており、誰でもかかる病気と考えた方が良いでしょう。
ただ、女性より男性の方が圧倒的に多い病気です。
加齢
- 特に40歳以上の男性
日常生活
- 咳をよくする人、
- 妊娠している人、
- 過激な運動をする人
職業
- お腹に力がかかる仕事、
- 立ち仕事に従事する人
病気など
- 便秘症、
- 肥満、
- 喘息、
- 慢性肺疾患
どんな症状ですか?
出たり引っ込んだりするのが特徴です
立った時やおなかに力を入れた時、太ももの付け根付近が“ぷっくり”と膨らんできませんか?
そんな症状が見られたら、ソケイヘルニアの可能性があります。
最初は気にならないくらいの大きさだったものが、気が付いたらはっきりと判るくらいの大きさになっています。
かなり目立つ大きさでも、腫れを手で押さえたり、寝転がってしまうと無くなってしまう。これがそけいヘルニアの最大の特徴です。
飛び出しているときに“違和感”や“軽い痛み・重い痛み”を感じる方もいますが、多くは飛び出すこと以外の症状はありません。
また、時間とともに、これまで引っ込んでいたのに、寝ても押しても腫れたままとなることもあります
時には突然どうやっても引っ込まない状態になり、激しい痛みを生じることがあります。
これを“嵌頓(かんとん)”といって、腸を切るような緊急手術が必要となる事もあります。ですので“嵌頓”を起こす前に治療をするのがポイントです。
長く使ったバケツほどボロがでるように、ヘルニアも中年以降に発症することが多い病気です。
また、体の構造上、男性に多いのも特徴ですが、女性にもみられます。
女性の場合、膨れるという症状より、痛みのほうが強く現れることもあります。
嵌頓(かんとん)とは・・・
突然、飛び出した腸がお腹に戻らなくなり、飛び出してくる穴で腸が締め付けられる状態を言います。
通常激しい痛みと、ヘルニア部分の熱・変色(赤黒くなります)など、通常のヘルニアとは全く違った状況になります。
こうなるとお腹を開けて腸を切らなくてはいけない場合があり、ぐっと手術は大変になります。
嵌頓を起こすのはヘルニア全体の1%程度といわれており、過度に心配をする必要はありませんが、緊急手術になるとその危険度はぐっと上がりますから(緊急手術での死亡率は、準備をしてからの手術の10倍以上と報告されています)、嵌頓を起こす前に手術をしてしまった方が得策でしょう。
嵌頓は指にきつく輪ゴムを巻きつけた状態に似ています
ソケイヘルニアの種類
ソケイヘルニアは大きく3種類に分かれます。
間接型ヘルニア、直接型ヘルニア、大腿ヘルニアの3種類で、間接型が最も多く、大腿ヘルニアが最も少ないと言われています。
違いは飛び出してくる穴の場所の違いで、手術方法には大きな変わりはないので細かく気にする必要はありません。
それぞれの特徴として
- 間接型・・・
- 比較的若い患者さんはこのタイプが多いですが、高齢者でも多いのはこのタイプです。
- 直接型・・・
- 高齢者に多いタイプです。両側が腫れているのもこのタイプが多いようです。
嵌頓は比較的起こしにくいタイプです。 - 大 腿・・・
- 脚に行く血管の通る穴から飛び出すタイプで、決して多くはありません。
女性、特に高齢女性に多く、嵌頓を起こしやすいので、早目に手術を考えた方が良いでしょう。
ソケイヘルニアの手術 腹腔鏡下手術の利点と欠点
ソケイヘルニアの手術は大きく2種類に分けられます。
以前より行われているそけい部切開法と最近増えてきた腹腔鏡手術の2種類です。
当院では腹腔鏡手術をメインに考えていますので、まずはその利点と欠点を上げます。
利点
- きずは5mm~10mm(数は増えます)
- キズの痛みは少ない
- 飛び出す穴を確認しながらの手術
欠点
- 費用が少し高くなります(手術費用が1.5~2倍 高額療養費制度を利用すればあまり変わりはありません)
- 腹腔鏡手術独特の合併症の可能性があります(腸閉塞、腸管・血管損傷など かなり稀な事です)
- 手術時間が少し長くなります(1.5~2倍 それでも1時間以内がほとんどです)
手術の詳細は「実際の手術」を参照してください
ソケイ法にはメッシュの使用の有無、使用するメッシュの種類により細かく種類が分かれています。
メッシュを使用しない方法・・・
再発の多さや、術後の違和感、痛みなどの関係から現在ではごく限られた方にのみ行われています。
詳細は省きますが、Marcy法、IPトラクト法、McVay(マクベイ)法などがあります。
- ごく小さなソケイヘルニア(特に若年女性)
- 何らかの理由でメッシュ(人工物)を使用できない場合
当然ですが、メッシュ(人工物)を使用することによる副作用(合併症)の可能性はありません。
メッシュを使用する方法・・・
全身麻酔が難しい方、腹腔鏡手術に適さない方(過去の開腹手術歴、再発例)などに対して、今でも広く行われます。
使用するメッシュの形状によりいくつも手術術式があります。
日本ではメッシュプラグ法、バイレイヤー法、クーゲル法、リヒテンシュタイン法などが行われています。
ヨーロッパのヘルニアガイドラインでリヒテンシュタイン法が推奨されており、腹腔鏡手術での再発、前立腺全摘後などには
リヒテンシュタイン法を行うのが一般的です。一方、日本では以前よりメッシュプラグ法を選択する事が多いようです。
ソケイヘルニア手術の実際
1.腹腔鏡手術の場合
腹腔鏡手術をメインに行っていますので、こちらに関しては少し詳しく解説します。
左のような位置に器械を入れる穴をあけ、細い筒(アクセスポートと言います)を通します。この小さな3個の穴から手術を行います。
● 5~12mm 主にカメラを入れるために使用します
● 5mm 手術操作のための器具(ハサミなど)を入れます
①ソケイヘルニアをおなかの内側から見た写真です。 ソケイ部に開いた大きな穴におなかの中の脂肪や腸が入り込んでいます。 まずはこれを引き出すことから始まります。 これを引き出すと・・・
②ぽっかりと大きなトンネルが見えます。 これがヘルニア門と言われる穴です。 腸の一部はこの門の奥に癒着し、完全には引き出すことが出来ませんでした
③このヘルニア門に沿って腹膜という薄い膜を切っていきます。
④全周に切り離した状態です。
⑤最終的に広く腹膜をおなかの筋肉からはがしていきます
⑥この腹膜をはがしたスペースに人口の布(メッシュ)を入れ広げ、溶けるスクリューねじで固定していきます
⑦血管や神経を避けてねじを打ち込みメッシュを広げた状態です。
⑧腹膜をまたもとの状態に戻します。隙間があると腸が入り込むので、ぴっちりと縫い合わせます。
⑨完成です。
隙間なく腹膜が覆えているのが分かると思います。
手術前の状態です。
⑩おなかのきずは左の写真のようになります。
2.ソケイ部切開法(従来法)の場合
ソケイ法にはメッシュを使用する方法とメッシュを使用しない方法があります。
メッシュを使用しない方法・・・
再発の多さや、術後の違和感、痛みなどの関係から現在ではごく限られた方にのみ行われています。
詳細は省きますが、Marcy法、IPトラクト法、McVay(マクベイ)法などがあります。
- ごく小さなソケイヘルニア(特に若年女性)
- 何らかの理由でメッシュ(人工物)を使用できない場合
当然ですが、メッシュ(人工物)を使用することによる副作用(合併症)の可能性はありません。
メッシュを使用する方法・・・
全身麻酔が難しい方、腹腔鏡手術に適さない方(過去の開腹手術歴、再発例)などに対して、今でも広く行われます。
使用するメッシュの形状によりいくつも手術術式があります。
日本ではメッシュプラグ法、バイレイヤー法、クーゲル法、リヒテンシュタイン法などが行われています。
ヨーロッパのヘルニアガイドラインでリヒテンシュタイン法が推奨されており、腹腔鏡手術での再発、前立腺全摘後などには
リヒテンシュタイン法を行うのが一般的です。一方、日本では以前よりメッシュプラグ法を選択する事が多いようです。
左ソケイヘルニアの創
(右の場合は逆側になります)
手術創はどの術式でもだいたい左図のようになります。
創部の大きさも5cm前後の事が多いようです。
Marcy法の場合、2~3cmとなります。
合併症は極めて少ないですが、0ではありません。
「手術なんか全く怖くない」「何が起きても大丈夫」という方はごくわずかだと思います。
ほとんどの方は手術の危険性(リスク、合併症)が気になると思いますので、このことは少し詳しく説明します。
1990年から2019年までに日本内視鏡外科学会のアンケート調査で登録された436,559例の鼠径部ヘルニア修復術症例のうち、報告された合併症例は6939例(1.6%)でした。
また、手術による死亡率は0.2~0.5% (緊急手術では4.0~5.8%)と報告されています。
皆さんはこの報告をどのように感じますか?意外と多いな、と感じますか?それとも少ないと感じますか?
この数字には年代や術者の技量、術式などは考慮されていませんから、然るべき施設でしっかり準備をすれば、現在はもっと少ない数字になると思います。
当院で行う鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術は、侵襲性が低く、患者さんの身体にかかる負担をできるだけ減らす手法を取っています。しかし、わずか数ミリの小さい傷とは言え、身体の表面を切る外科手術で様々な合併症のリスクをゼロにはできません。この手術のリスクと現在ある症状、嵌頓のリスクを天秤にかけて手術を決めるのが良いと思います。
さて、ではどのようなリスクがあるのか、また当院でリスクを減らすために行っている取り組みについてご紹介します。
鼠経ヘルニア手術による合併症リスク
鼠経ヘルニア手術を行った際に、どのような合併症リスクがあるのかを説明します。
漿液腫(しょうえきしゅ)、血腫
現在ソケイヘルニアで腫れているまさにその部分に、術後同じように腫れが出来ることがあります。
場所や形が元のヘルニアと似ているため「鼠径ヘルニアが治らなかった」「再発した」と誤解されるケースも少なくありません。ですが、これはいわゆる「たんこぶ」と同じようなもので、鼠径ヘルニアの手術で切った部位から体液や血液が出て、手術前にヘルニアがあった場所にたまる事が原因です。
鼠径ヘルニア手術の合併症としては比較的多く報告されるもので、発生率は3~4%程度という感覚です。
たんこぶと同じで時間とともに吸収されなくなりますが、時には1か月程度かかる場合もあります。ごくまれに完全には吸収されず残ることもあるので、その際には針を刺して中身を抜くこともあります。
出血
手術は生身の体を切る治療ですから、出血が全くないという事はありません。しかし、術後に輸血や、止血のための再手術が必要なほど大きな出血を伴うケースはほとんどありません。
ヘルニアはたくさんの血管や血液の入った臓器を切るような手術ではないため、出血リスクは低いからです。
ただし、過去に大腸や前立腺、婦人科疾患などで下腹部の開腹手術をしたことがある方、そけいヘルニア手術後の再発や、何らかの原因で下腹部にひどい癒着が予想されるケースでは出血のリスクが上昇します。
また、手術室では、止血を入念に確認してから傷を縫合しますが、閉じた傷の内部から再出血が起こるケースがたまにあります。抗血栓薬・抗血小板薬(いわゆる“血液サラサラのお薬”)などを飲んでいる方は、出血をするリスクがやや高くなるので注意が必要です。手術前に抗血栓薬・抗血小板薬の休薬をお願いする場合もあります。
出血した血液が皮膚の下に血液が流れ込むと、皮膚が黒ずんで見えるケースがあります。これを皮下出血といい、俗に“青あざ”とか“青たん”と言われる状態になります。通常は数週間をかけて青→黒→茶→黄色と変色しながら体内に吸収されますが、急激に傷の膨らみが増したり、傷口からいつまでたってもガーゼが真っ赤になるような出血が続くようであれば、必ずご連絡ください。出血した血液がもとのヘルニアのあった場所にたまった状態が、前述の血腫と呼ばれるものです。
慢性疼痛(とうつう)
手術のきずの痛みは1~3日程度でかなり改善します。それとは別に、手術後時間がたってからヘルニアのあった周辺に痛みが出ることがあります。
これを慢性疼痛とよび、一般的には「術後3か月の時点で存在し、6カ月以上続く痛み」と定義されています。
実はこの慢性疼痛は意外に多い合併症で、欧米の報告では10~20%に発生すると言われています。ただ、日本では正確な発生率は解かっておらず、私自身の感覚ではそこまで多くはない印象です(10人に1~2人に発症するというと、かなりの割合です)
ただこれは、このような悩みや症状があっても、ご自身で我慢していたり、他の医療機関を受診しているだけで私自身が気付いていないだけという可能性もあり、今後日本においても正確な発生率の報告が待たれるところです。
慢性疼痛の多くは時間とともに気にならなくなる事がほとんどですが、中には長期間、痛み止めなどが手放せない、という方も稀に見受けられます。なかなか一発で改善するような治療法がないこともこの合併症の厄介なところです。
感染
手術のきず、特に腹腔鏡手術のように小さなきずが化膿することはほとんどありません。
しかし、ごくまれに鼠径ヘルニア手術で使用したメッシュ(人工の布)が化膿する事があります。
そうなるとちょっと厄介で、強力な抗生剤治療や場合によってはメッシュを取り除く手術が必要となる事があります。
ただ、そのようになる事はごくごく稀です。
精管損傷
もちろん男性でのみ起きうる合併症です。精管とは睾丸で作られた精子を射精の際に運ぶ管の事で、損傷すると精子が通れなくなります。特にこれから子供を、と考えている方の場合には、この合併症が不妊の原因になるかもしれません(ただ、もう片方の精管が健常であれば通常妊娠は可能です)
また、子供を作る年齢でなくとも、射精時に痛みを感じることもあります(このあたりは前述の慢性疼痛と区別が難しくなります)
ただ、手術する側は必ずこの点を注意して手術を行いますので、よほどの理由がなければ起きる事はない合併症と考えて下さい。
また、これに関連してですが、ガイドラインでは、けいヘルニア患者の2.4~23.2%に性行為中の鼠径部痛、射精障害等の性機能障害を認め、術後にはその頻度が1~6%程度にまで減少する、と記載されています。さらにはメッシュを使用したヘルニア手術を行っても、男性不妊の原因にはならない、とも書かれています。
これらの事を考えると、子供を作る年齢の方でも、そけいヘルニア手術は気になっていたり、困っているのであれば積極的に治療を考えても良い手術と思います。
再発
鼠径ヘルニアの再発は、昔に比べてだいぶ減ってきました。手術法の発達が原因と考えられています。メッシュを使用する前には約10%と言われていた再発率も、メッシュを使用する方法が普及してからは1%程度(1%未満という報告もあります)まで低下しています。
低い数字ではありますが、決して0ではない事を覚えておいてください。当然ですが手術に慣れた術者が行う方が再発率は低い事はいうまでもありません。
また、再発とは言いませんが、手術した側の反対側にソケイヘルニアが発症する可能性も10%程度あると考えられています。一般的な人よりも、反対側のヘルニアになる確率は「やや高い」という指摘もあります。
その他の外科手術で起こりうる合併症
腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の合併症としては発生頻度がかなり低いものをまとめて紹介します。
消化管損傷・穿孔
腹腔鏡を体内に入れるときに使う筒状のポートで、消化管を傷つけてしまう場合が多いですが、手術操作(腸が癒着している際に剝がそうとするときや、手術器具の出し入れ操作)によって傷がついてしまう事もあります。術中には気が付かず、術後に発覚するケースもごくまれにあります。
腸閉塞
腸管の
①使用したメッシュや糸へ癒着
②切開した腹膜の隙間へのはまり込み
③切開した腹部の傷への癒着
などが原因で腸閉塞を起こすことがあります。
便が出にくくなり、お腹がひどく張り、腹痛や嘔吐などの症状が出ます。食事制限と点滴により回復する事がほとんどですが、まれに手術が必要なる場合もあります。
膀胱損傷
膀胱は鼠径部と比較的近い場所にあるため、手術中に膀胱の周りの空間を剥離する際に、この合併症が起きる場合があります。
これも手術中に判明する場合もありますが、術後に判明する場合もあります。
膀胱を損傷した場合や、膀胱損傷が疑われる場合は、手術中に損傷部位を修復したり、尿道カテーテルを一定期間留置するなどの対策が取られます。術後に判明するような場合には緊急の手術となる事もあります。
その他、全身麻酔で起こりうる合併症
全身麻酔を使用する手術には、
- 術後の無気肺や肺炎
- 低酸素血症
- 深部静脈血栓症
- 肺塞栓症
これらのリスクも極めて低いですが完全ゼロとは言えません。術後は注意しながら経過を観察していきます。
合併症リスクを極力減らす
あらゆる医療行為に「絶対」はありません。ましてや手術は体にメスを入れて治す治療なので尚更です。
ですが、ヘルニア手術に関してはその危険性は他の手術に比べてもかなり低いと言えます。それ以上に、ヘルニアを放置する事で日常生活に生じる不安や不快感、そして嵌頓のリスクを考えると、自身の良いタイミングで手術を検討するのが良いと思います。
当院では術前に血液検査、心電図検査、肺活量検査、レントゲン検査、必要に応じて心臓超音波検査などを行い、十分に患者さんの状態を把握したうえで手術を行います。
また、手術前に麻酔担当医によるチェックも行い、これらの合併症を極力0になるように常に準備をしています。
もちろん、合併症は手術を行う外科医の手技に大きく関わります。
外科部長の黒崎医師は東京ヘルニアアカデミー(日本ヘルニア学会 関連地域研究会)の世話人を務め、都内のヘルニアクリニックで年間180件ほどの日帰りヘルニア手術を行っている実績があります。当院では黒崎医師をはじめ十分に習熟した医師により手術を行っています。
すぐ手術をしなくてはいけませんか?
ヘルニア自体はすぐに命にかかわる病気ではありません。
また、癌のように、放置していると進行していずれ命を落とすような病気でもありません。
その意味では御自身で手術を決心した時が、手術のベストタイミングといえます。
しかし、ヘルニア自体が放って置いても自然に治る病気でないこと、大きくなると手術が難しくなる可能性があること、
そして少ないものの「嵌頓(かんとん)」を起こす可能性があることを考えるとなるべく早い時期に手術を受けた方が得策でしょう。
ヘルニアとは「ちょっとした勇気と時間があれば治る」病気だと考えてください。
八潮中央総合病院でのソケイヘルニア治療について
腹腔鏡手術による1泊2日での治療が可能です。
ソケイヘルニアを治すには手術しかありません。残念ながら薬や装具、生活習慣を気を付ける事では治りません。
八潮中央総合病院では全身麻酔での腹腔鏡手術による1泊2日での治療を行っています。
普段忙しく、長く入院に時間をかけれない方はぜひご相談ください。
もちろん入院期間に関してはご本人、ご家族と相談し、さらに延長することも可能です。
鼡径部切開法(従来法)での治療を選択することもあります
以下のような場合にはソケイ部切開法を選択する事もあります。
- 全身麻酔が困難で腰からの注射での麻酔となる場合
- 腹腔鏡手術を含め、メッシュを使用したヘルニア手術後の再発
- ひどい腹膜炎や癌などの大手術後(特に前立腺全摘術後)で下腹部に大きなキズのある場合
- ご本人、ご家族が腹腔鏡での手術を希望しない場合
手術方法、入院期間に関しては、ご本人(ご家族)の希望をよくお聞きしたうえでご提案させていただきます。
外科部長の黒崎医師は東京ヘルニアアカデミー(日本ヘルニア学会 関連地域研究会)の世話人を務め、都内のヘルニアクリニックで年間180件ほどの日帰りヘルニア手術を行っている実績を持っています。当院では黒崎医師を中心に十分に習熟した医師により手術を行っています。
費用はどのくらい??
健康保険を使った3割負担で、ソケイ部切開法でおよそ7~8万になります。
腹腔鏡手術では片側でも両側でも15~16万程度になります。
高額療養費制度を利用すれば、さらに自己負担額は少なくなり、腹腔鏡でもそけい法とあまり変わらない費用になる可能性があります。
70歳以上では2割負担となります。
初診から終診までは合計4日
診察の流れ
お手数ですが手術を安全、確実に行うために、入院も含め初診から終診まで4日間病院にいらしてください。
初診(1日目)
外来受診していただき、診断、治療方針を決めます。手術が必要な場合は、このときに麻酔を含めた手術治療が安全に行えるか判断するために、
術前検査を行います(採血、レントゲン検査、心電図、肺活量検査など)。
手術に関しての説明と詳しく書いた説明書などもお渡しします。
再診(2日目)
麻酔科による診察を受けていただきます。麻酔のリスクや麻酔をかけるまでの流れ、注意事項の説明や麻酔を安全に行うためのチェックなどを行います。手術室看護師も同席し、必要に応じて手術室での注意点や患者さんの疑問点などにお答えするようにします。
多くの場合、同日に新型コロナのPCR検査も受けていただきます(別日になったり、今後廃止になる可能性もあります)
入院当日(3日目)
いよいよ入院です。手術当日の午前中に入院していただきます。
手術時間により、外来から直接手術室に向かう場合と、一度病室に入院してから手術室に向かう場合があります。
通常歩行で手術室に向かいます。
特に問題がなければ手術後の夕方からお食事をしていただきます(手術終了時間によります)麻酔が覚めれば歩行も可能です。
退院(4日目)
翌朝、手術した傷の状態などをチェックし、問題なければ午前中のうちに退院です。
傷の痛みなど、個人差がありますが、退院当日から日常生活は十分可能です。
入浴も可能ですが、心配な方はシャワーを浴びてください。
また、デスクワークであれば退院後1~2日で仕事に復帰することも可能でしょう。
退院後は特に異常がなければ外来受診の必要はありません。
術後不安、不調がある場合には外来受診を希望されてももちろん構いません。
また、術中・術後の状態によっては、こちらから外来受診をお願いすることもあります。
お話させていただいた流れは、あくまでも当院での標準的な例です。
実際には病気の状況・患者さんの希望などを可能な限り取り入れながら、治療を進めていくように致します。