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糖尿病性足病変(糖尿病性足潰瘍、糖尿病性足壊疽)

  1. 糖尿病があり、足が感染を起こして赤くはれ上がっている。
  2. 糖尿病があり、足に孔があいていて、そこから膿や汁が出続けている。
  3. 糖尿病があり、足が灰色に腐ってきた。悪臭がする。

軽微な外傷や胼胝、深爪などによって足の皮膚に微小な傷ができ、そこからばい菌が侵入して、足の皮下に広がった状態です。蜂窩織炎でとどまっている場合は抗生剤点滴による保存的治療が可能ですが、瘻孔ができたり、壊疽となったりした場合は、外科的な処置が必要です。

外科的処置の必要性については異論のないところですが、この「外科的処置」を施す範囲(すなわちメスを入れる範囲)の決定については、よい指標がありません。そのため、「不十分な」外科的処置により感染が制御できずに結局大切断に至ったり、もしくは「十分すぎる」外科的処置のために必要以上に大きな侵襲(小切断を含む)となったりすることもあります。

そこで当院では、「瘻孔造影3D-CT」という方法を独自に考案し、外科的処置の範囲の決定を行っています。これは、皮膚にできた外瘻から造影剤を注入し、皮下に広がるポケットの範囲を3D-CTで描出する方法です。手術では、ポケット部をすべて開放すべく皮膚を切除し、洗浄・デブリードマンを行います。

この方法は「ポケットがあるからこそ、感染が制御できない」という考えに基づいています。組織には血液が流れていますので、血行に乗って抗生剤が到達できますが、ポケット部は血行がないため、抗生剤をいくら点滴しても届きようがありません。その結果、抗生剤からの攻撃を受けない環境で、ばい菌たちはぬくぬくと増殖を続け、いつまでも感染が制御できない状態が続きます。逆にポケット部がなくなれば、ばい菌は抗生剤の攻撃からのがれることができず、すみやかに感染は収まっていきます。

瘻孔造影3D-CTによって精確にポケット部を把握できるようになってから、以前であれば切断と考えざるを得なかった症例でも、切断しないで治療することが可能になっています。

洗浄・デブリードマン

瘻孔造影3D-CTで皮下に広がるポケット部を把握します。手術ではそのポケットをすべて開放するように皮膚を切除します。開放創を十分に洗浄し、壊死組織を除去します。術後はVAC(持続陰圧療法)を行うこともありますが、感染が速やかに収まることが多いため、省略することもあります。感染徴候がなくなり、あとは肉芽の盛り上がりと皮膚の再生を待てばよい状態になったところで退院、外来フォローアップとなります。上皮化までには数か月を要しますが、皮膚はきれいに再生します。

なお、以上の治療法は神経障害に起因する糖尿病性足病変に対する方法で、末梢動脈疾患に起因する糖尿病性足病変に対しては別の治療法となります。

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