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踵骨骨折後遺症(踵骨骨折変形治癒・変形癒合・後遺障害)

○踵骨を骨折して以来、痛みが取れない。

踵骨骨折はさまざまなタイプがありますが、ここでは特に痛みを残しやすいタイプについて述べます。

高いところから落下するなどして踵骨に強い力が加わると、踵骨は前後に分断されます。このうち、後ろ側の骨片は、①上からの力で陥没した関節面の骨片、②上からの圧力で横に膨らんだ外側壁の骨片、③残りの大きな骨片(接地する部分です)、の3つに分かれます。
これらの3つの骨片がずれたまま癒合したとき、それぞれによって異なる痛みが残ります。

  1. 関節面が陥没して、関節の動きがいびつになることによる痛み、変形性関節症の痛み。
  2. 膨らんだ外側壁に押し上げられた腓骨筋腱の腱鞘炎の痛み。
  3. 以前と違うところで接地していることによる足裏の痛みや、荷重軸のずれ、扁平足などによる痛み。

手術では、これら3つの骨片をいかに戻すかがポイントとなります。

矯正骨切り術

踵骨骨折の手術は、意外なことに、新鮮骨折よりも先に変形治癒の手術が進歩しました。

踵骨骨折を正確に把握できるCTも骨折部の良い固定材料もない20世紀前半は、踵骨の新鮮骨折の手術は大変難しいものだったため、まずは保存的に治療し、残った変形癒合に対してはじめて手術をする、という治療方針でした。その結果、新鮮骨折よりも先に変形癒合の手術のほうが進歩したのです。

20世紀後半になると、CTによる骨折形の詳細な評価、固定材料などの進歩、関節内骨折の理解の深まりなどに伴って、新鮮踵骨骨折に対してより積極的に手術が行われるようになり、手術方法にも進歩が見られ始めました。実はその傾向は現在も続いており、新しい手術法が数多く報告されています。

トレンドが新鮮骨折の手術法にシフトしたからでしょうか、変形癒合の手術は1957年のGallieの論文を最後に目立った進歩はなく停滞気味です。手術法もいくつかの方法が散在するだけで、骨折形の評価や手術の適応に明確な基準がいまだにない状態です(変形癒合で唯一の分類である1996年のStephens & Sandersの分類は、変形癒合の骨折形と手術法とを対応させていますが、独立して扱える骨折形を混ぜて分類している点や、距骨下関節の固定を安易に行ってしまう点に不備があると考えています)。

そこで当院では、変形癒合の骨折形のクリアーカットな評価法(①関節面:陥没2mm以内/陥没2mm以上/粉砕、②外側壁の膨隆:なし/あり、③踵骨体部の転位(calcaneal pitch angle):20°以上/20°未満)と、下記のようなどの骨折形の組み合わせにも対応しやすい手術法を考案し、手術を行っています。

横に膨隆している外側壁は、本来の外側壁のあった場所まで切除します。陥没した関節面は骨切りして押し上げ、下にできたスペースに、切除した外側壁の骨を移植します(壊滅的に関節面が痛んでいるとき以外は、なるべく関節固定術は行わないようにします)。接地する部分の骨片は弧状に骨切りして引き下げ、足の縦アーチを復活させます。距骨下関節の動きが悪いときには授動術を加えます。骨切り部を固定した際に足関節の背屈制限が著しい場合には、アキレス腱延長を追加します(説明をわかりやすくするため、実際の手術の手順とは若干異なっています)(外側壁切除と距骨下関節授動術は1908年のCottonの方法のアレンジ、距骨下関節浮上術は慶應大の宇佐見先生の本から、踵骨弧状骨切り+アキレス腱延長はオリジナルです)。

この方法は、それぞれの変形癒合に対する手術の組み合わせでありながら相補的に作用している点(踵骨骨切りをすることで授動術が行いやすくなる、授動術によって関節面の評価と陥没部の浮上もしやすくなる、切除した外側壁は移植骨に使える、など)がメリットです。

距骨下関節鏡

踵骨骨折後遺症の中で、距骨下関節が癒着しているために、可動域が制限され、動きに伴って痛みが出ることがあります。この場合、関節鏡で距骨下関節の癒着を剥離すると、症状を改善することが期待できます。骨の変形が少ないにもかかわらず痛みが続く症例では、まず最初に検討してよい手術法です。

※なお、当院では、新鮮踵骨骨折に対し、独自の低侵襲な手術法を行っております。

手術の詳しい説明は下記をご覧ください。

踵骨骨折の手術療法
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