中足骨短縮症
1本の中足骨だけ短い(主に第4中足骨。2本の場合もあります)ため、外見上、その足指だけ不揃いな状態を言います。0.02~0.05%に発生し、男女比は1:25、両足例が72%と報告されています。先天性のほか、外傷・熱傷・感染・若年性リウマチ・腫瘍・放射線・ポリオなどの後天的な原因により、骨端の成長が早期に停止して起こります。痛みがある場合は手術の適応と言われていますが、コスメティック的な理由でも手術することがあります。
手術は、一期的に矯正する方法と、創外固定を用いながら緩徐に矯正する方法とがあります。どちらにも長所・短所があるため、患者様の意向も考慮に入れて手術法を選択します。
一期的矯正
短い中足骨を骨切りし、引っ張ってできたスペースに自家骨を移植する方法です。手術が一回で終わるというメリットの反面、一回の手術という短い時間で引っ張って伸びることのできる長さには限度があるため(無理をすると皮膚や神経血管を傷めます)、矯正できる長さに限界があります。1 cm未満の矯正に適応があります。
創外固定による緩徐な矯正
創外固定を用いて緩徐に伸ばしていきます。皮膚や神経血管も緩徐に伸びるため、大きな矯正ができる一方で、長期間創外固定をつけていなければならない点がデメリットです。1 cm以上の矯正が必要な際に適応があります。
創外固定を用いた方法では、仮骨延長法(骨切りした間隙に仮骨ができるのと同期させて間隙を広げていくことで、骨を伸ばす方法)が一般的ですが、当院では、1989年にUptonらが発表した、中足骨を骨切り後、創外固定で皮膚や神経血管などの軟部を延長し、できた骨切り部の間隙に自家骨を移植する方法を行っています。この方法は、創外固定装着と自家骨移植の2回の手術が必要ですが、一期的矯正と比べて十分な矯正が可能で、仮骨延長法と比べて創外固定の装着期間が短く(3週間程度。仮骨延長法は3か月程度です)、技術的な難しさがない点がメリットです。
二期的矯正
一期的矯正を2回行う方法です。中~長期間創外固定を付けなければならない苦痛を回避し、十分な矯正を可能にします。1回目の手術後のリハビリで十分に組織が軟らかくなった後(1年以上が見込まれます)、2回目の手術を行います。
手術の詳しい説明は下記をご覧ください。
中足骨短縮症の一期的手術療法